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「コロナの夏」の熱中症対策 |
高温多湿な夏の日本は、熱中症大国。今や手放せなくなったマスクの影響などもあり、今年は熱中症で救急搬送される人が例年以上に多くなっています。熱中症の症状が新型コロナウイルス感染症と似ているのも、やっかいなところ……。自分自身を守るため、医療機関にさらなる負担をかけないため、しっかり対策を心掛けましょう。 ◆8月の熱中症危険度は「厳重警戒」ランク 昨年5~9月の間に、熱中症により救急搬送された人は日本全国で7万1317人。そのうち126人が亡くなりました。 ◆この夏は例年以上に危ない! その3つの理由 今年はいつにも増して熱中症のリスクが高まっています。消防庁から発表されている熱中症救急搬送者数を見ると、まだ暑さが本格的になる前、6月1日~7月12日の間だけでも8000人近く、昨年より2000人も多い。なぜこんなに増えているのでしょう。 理由➀ マスクでさらに体温上昇 今や手放せなくなってしまったマスク。蒸し暑い中でマスクをつけ続けなければならないつらさは、みなさん痛感されているでしょう。実際にNHKが行った実験でも、マスク着用前は36度前後だった口元の温度が、着用後すぐ39~40度に! 理由2② コロナ自粛で「暑熱馴化」できていない 体が徐々に暑さに適応していくことを暑熱馴化といいます。本格的な夏が始まる前にしっかり暑熱順化できていれば、皮膚の血管が拡張して血流が増え、皮膚表面から体外に熱を放出しやすくなります。汗腺の働きも活発になるため、早いタイミングでたくさん汗をかき、体温の上昇を防ぐことができる。また、汗腺の働きがよくなると、毛穴から汗が出る前に塩分を血液中に再吸収する作用が高まり、大量の汗をかいても体に必要な塩分を失わずにすみます。 理由③ 運動不足で筋肉量が低下 感染を恐れ巣ごもり生活が続く中、スポーツジム通いやジョギング、散歩などを習慣にしていた人まで運動不足に。必然的に筋肉が落ちてしまっています。実は筋肉というのは、体の中でもっとも多く水分をためている器官。筋肉が減れば、保持できる水分量も減り、脱水状態になりやすいのです。 ◆症状が似ている!? 熱中症と新型コロナ感染症 高温多湿な環境に体が適応できず、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かなくなったりして起こるのが熱中症。実は、熱中症と新型コロナウイルス感染症の症状は、下の表1のように重なる部分が多いのです。 ◆熱中症にならないための6つの習慣 しっかり対策することで100%防げる唯一の病気、それが熱中症です。「コロナの夏」だからこその注意点も含めて、熱中症にならずにすむ方法をご紹介します。 対策➀ のどが渇く前に水分&塩分補給 マスクをしていると渇きを感じにくいので、いつもの夏以上にこまめに水分補給をしてください。のどが渇いていなくても、20、30分に1度などと時間を決めて、少しずつ飲むことをおすすめします。1度に大量に摂取すると、大部分が吸収されず余分な汗や尿として体外に排出されてしまうので、ゴクゴクではなくチビチビ飲むのがコツです。 対策② きちんと3食とる 一般的な成人が普通に生活していて1日に必要とする水分量は、2.5リットル程度(活動量が多い場合は3.5リットル)。その半分近くを食事からとっています。だから、熱中症を避けるためにも、できるだけ朝、昼、晩と栄養バランスのいい食事をとることが大事。暑くて食欲がないからといって食をおろそかにすると、栄養不足で免疫力が落ち、熱中症や新型コロナウイルス感染症にもなるリスクも上がってしまいます。 対策③ こまめに換気、しっかり冷やす 熱中症が最も多く発生する場所はどこだと思いますか? 意外なことに、かんかん照りの屋外ではなく室内。家の中だから大丈夫と油断してはいけません。環境省は冷房の温度を28℃と推奨していますが、人がいる場所で室温が28℃を超えていないかどうかをチェックし、そうなるようエアコンの温度設定をしてください。 対策④ 暑さに強い体をつくる 「ステイホーム」で衰えてしまった筋肉をとり戻すため、家の中で運動する習慣をつけましょう。テレビを見ながらスクワットをしたり、500ミリリットルのペットボトルを両手に握って腕を上下・左右に動かしたり、椅子に座って足を浮かせたまま膝の曲げ伸ばしをしたり、歯を磨きながらかかとの上げ下げをしたり……。この程度の軽い運動でも、やるとやらないでは大違い。人が少なく涼しい早朝などを選んで、早歩きで散歩するのもいいでしょう。 対策⑤ 周囲に人がいなければマスクをはずす 屋外で2メートル以内に人がいないなら、積極的にマスクをはずしましょう。自転車に乗るときも、人混みの中でなければはずすことをおすすめします。自転車は風が起こって涼しいので暑さを感じにくいうえ、マスクをつけていると渇きにも鈍感になり、「いつの間にか脱水」が起こりやすいのです。 対策⑥ 気温だけでなく 「暑さ指数」もチェック 気温、湿度、周辺の熱環境(陽射しや地面からの反射熱、建物からの輻射熱など)の3つをもとに出しているのが「暑さ指数」です。熱中症予防を目的として考えられたものなので、ぜひ活用してください。環境省のホームページで、自分の住んでいる地域の指数と、住宅地・交差点・体育館といった場所ごとの危険度を細かく知ることができます。 表2 ◆もし熱中症になってしまったら…… 表1のように軽症の場合は、以下の応急処置を行ってください。 中等以上の症状が出ているときは病院への搬送が必要です。未開封のペットボトルを自分で開けられない、水を飲み込めないという場合も、迷わずすぐ病院に行きましょう。 ※参考資料 |
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(資料出所/CFCほか)